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夜のおつまみ

夜な夜な酒のつまみになる何かを探してさまよった記録です。

あんまり誰も書いてないから田舎で本当に美味しく過ごしている人を教えてあげる

こんな記事を読んだんだけどさ。

www.sugatareiji.com

 

まあ、そう間違ってはいない。んだけど、田舎で本当に美味しい生活をしているのは、イケダハヤトみたいな人ではないんですよね。

 

 

20数年前、私は田舎の受験少年院と言われた高校に通っていました。その高校での進路指導では「最低でも旧帝大もしくは国立大学医学部コース」が脚光を浴びていました。世間一般がその高校を見る視線も、そのコースに乗った人を典型的な卒業生として認識していました。そしてそのコースに乗った人は、自分はその地方のエリートだ、と思ってその高校を巣立っていくわけですが、でも、その高校の内部の人は、他に、一般には知られざる進路指導があることを知っていました。

 

私立医学部コース。そして、とにかくどこの大学でも一浪以内で突っ込むコースです。

 

私立医学部コースに進む人は、ほぼ親も医者です。ここまで書けば分かると思いますが、地方の受験少年院の隠れた財源の一つは、地元有力者です。多くは、医者や、地元新聞社・マスコミ、地元の古くからの有力企業、そして政治家一族です。ほぼ、世襲です。医者になれそうなくらいの子は、国立大学の医学部は当然に無理なのですが、「私立医学部コース」に行きます。そしてそれがかなわない子供は、「とにかくどこの大学でも」コースに行きます。

 

地元有力者の子弟でも、お勉強ができる子は、残念ながら「最低でも旧帝大…」コースに進み、そしてその多くは、自分より能力 and/or 経済的バックグラウンドも隔絶した都会の真の金持ちに遭遇し、そして自分は平凡に生きなければいけないということに気付かされます。

 

ところが、勉強ができなかった地元有力者の子弟は、親族が張り巡らせたネットワークと、地方経済の廉価な消費生活と、時折東京に遊びに行って豪遊しても足りる程度の財産を相続し、そして誰にもチャレンジされない安泰な地位を維持しながら、安逸な生活を送ります。なぜ誰にもチャレンジされないかというと、チャレンジする才覚の持ち主は、みな東京に出ていってしまうからです。

 

地方の時給700円?それなんて別世界?って彼らは思っています。もちろん、彼らが経営する病院、企業に勤務する人たちやお客さんは時給700円の世界で生きていますが、地元有力者にしてみれば、それは別の人たち、ということです。

 

ときおりイケダハヤトみたいなのが来ますが、どうせ地元有力者の世界には触れることなく、都会のお金(=アフィリエイト経由の広告宣伝費)を田舎に落としてくれるありがたい存在ですので、大目に見ます。自分たちにはむかうようであれば全力で潰しますが、まああの程度の虫けらは相手にするまでもありません。

 

そうして、田舎の地元有力者は、緩やかに衰退する地方にいながらにして、自分たちは相対的に恵まれた生活を送ります。都会にもこの種の「地元有力者」はいますが、都会のそういうカテゴリの人たちは、田舎から集まった、あるいは都会でチャンスをつかんだ、とてつもない幸運と才能とに恵まれた怪物に日々その立場を脅かされています。追い越されるというのは、つらいことなのです。でも、田舎の地元有力者には、追い越されるという言葉はありません。

 

田舎の地元有力者は、衰退する地方と運命を共にするのではないかと思う人もいるかもしれませんが、それがそうではありません。かつての某岩手県知事のように、東京からお金を引っ張ってくるのが自分の仕事とわきまえる政治家を使嗾して、財政支出を誘引し、そしてそのゲートキーパーとして美味しい汁を吸うのです。そのために地元にネットワークを展開しているのですから。

 

 

と、私の同級生で受験少年院を卒業して、都内某国立大学法学部を経てお役人になった人が嘆いてましたとさ。

 

 

あのころ田舎で勉強ができなかった奴ほど、楽しそうに暮らしてるって。俺たちの仕事は、あいつらを食わせるだけの仕事だって。自分だって、地方に残っていればもっと面白おかしく暮らせたのに、って。

 

 

でも、地元に残るには野心がありすぎたから、デキる奴ほど東京に出てきて、それで消耗してるわけです。

 

 

で、そういう消耗に見切りをつけたかった人が、イケダハヤトみたいに地方に行って、そして蔦屋を図書館にしたりするわけです。血縁だけでゲートキーパーやってる奴らより、東大を出た俺様の方がより優れたゲートキーパーになれるって思って。

 

 

やれやれ。

 

 

 

 

豪閥―地方豪族のネットワーク

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