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夜のおつまみ

夜な夜な酒のつまみになる何かを探してさまよった記録です。

民進党が本当にダメなところ

今日はこちらのツイートを読んで考えたこと。

 「遅延度に応じて料金を割り引く制度の導入」ということで、感想欄には、藤末議員は「そこらへんのおっさん以下」とか「個人的な苛立ちを解消するために」とか「世間知らずな浮世離れ」とかという、藤末議員の個人的な資質に着目した批判があるのですが、しかしながら、藤末議員は、さすがにそのレベルのバカではありません。

 

むしろ私などは、この発言に、民進党の宿痾ともいうべき問題点を感じます。

 

おそらくですが、藤末議員は、何も考えずに脊髄反射的にこのようなツイートをしたわけではありません。藤末議員は、こういうことを言ったら、多くの読者の共感を得られ、それが民進党に対する支持であり次回選挙における自分の得票が増えるだろう、という計算のもとにこのようなツイートをしていると思われます。

 

そのような目でこのツイートを読むと、いくつかのキーワードが出てきます。

田園都市線」:首都圏において比較的高収入(高学歴)の人たちが住んでいる沿線です

「料金を割り引く」「無料にすべき」:無料はみんな大好きです

「30分以上遅れたら」:数値目標を作るのは大切

独占企業の立場に甘んじている」:独占企業を叩き、その独占を許している人を叩きます

 

というわけで、この短いツイートは、都市部在住の比較的高収入で高い教育を受けた人たちに対して、既得権益のせいで競争を免れている人を叩いてその特権性を権力によって排除し、結果として独占している誰かが怠慢をしたら、無料でそのサービスを享受できるユートピアができるという将来像を描いて見せているわけです。

 

結果として独占している誰かというのは、この場合は田園都市線を運営する東急電鉄ですが、同じような発想を展開すれば、NTTやNTTドコモなどの通信事業者、JR、大学や高校などの教育事業者、保育園や幼稚園などの育児系の事業者についても、質が低ければ値下げ系の制裁を加えるという意味での消費者本位の政治をしてくれるのではないかと、そういう期待を持たせる発言です。

 

もちろん、そうすることによって、まともなサービスを供給する事業者はこの市場から退出し、鉄道であれば日勤教育を強制するような事業者が残存するという仕組み上の問題は存在するわけですが、そんなことは藤末議員はよくわかっていると思います。なんせ、腐っても東大卒、経産省で行政経験があり、アメリカ留学までして学問を追及した人です。さすがにそれがわからないほど馬鹿ではない。実際、別の記事では、「今回の問題についてはすでに国土交通省の担当者と話し合いを行っており、法律の範囲で政府が対応できることを確認しているそうです。なお、Twitterで語られていた割引・無料化への言及はありませんでした。」というわけで、現実の世界では、割引・無料化は無理だということはわかっており、法律の範囲内で対応するという、実に穏当な対応を取っているわけです。

 

ではなんでツイッター上でそんな発言をするかというと、藤末議員は、きっと、このツイートを読む、彼が訴求したい田園都市線沿線に住むサラリーマンや年金生活者は、その仕組み上の問題点には気づかずに、ツイートで繰り広げたユートピアには賛同してもらえると思ったからだと推測します。

 

だとすれば、それこそが、民進党が、前身の民主党あるいは日本維新の会から引き継いでいる問題点です。すなわち、選挙民に媚びて現実離れした夢を売り込んでいるのに、選挙民の本当の洞察力を信じていないというところにあります。別の言い方をすれば、選挙民をなめているところです。

 

10年ほど前は、それでよかったのです。財源不明なんだけど、とりあえず子ども手当、とりあえず高校無償化、とりあえずガソリン税下げろ。その財源は、独占企業すなわち官(あるいは自民党)から特権を得ている企業から収奪すればよい。そうやって、かつての民主党は、夢を振りまいて、自民党政権を倒し、自ら政権の座につきました。

 

あるいは、日本維新の会も同じです。民主党のそのような手法の手品の種がバレて国民の不信を買ったときに、大阪で、社会システムの実際をあえて語らずに夢を振りまいたタレント上がりの政治家がいました。やり口はおんなじです。

 

でも、選挙というものは恐ろしいもので、個々の選挙民は、冒頭のツイートの中で自分に都合の良い部分を引用して、なんとなく「いいこと言うじゃん、この人」とか思ったとしても、集団としての選挙民は、結構、その種の発言が本当には語っていないものをきちんとえぐった判断をするものです。かつて、民主党が、第一次安倍内閣以来の自民党内閣を寄ってたかって叩いていた時にはマスコミなども同調してあおった結果、民主党政権が実現してしまったわけですが、その体たらくを目の当たりにしたときに、さすがに民主党あるいは民進党議員のあからさまな冒頭のツイートのような発言には、眉に唾をする程度の判断をするようになりました。

 

にもかかわらず、藤末議員の感覚は、民主党政権以前の、選挙民に媚びて既得権益を叩いていれば票が取れていた時代の感覚に見えます。もはや、民進党にはかつてのような追い風はない。選挙民は、集団としては冷徹に発言を見て評価しているのです。

 

そのことに気づいていないことが、いつまでたっても、民進党の党勢が回復していない理由ではないか、と、個人的に付き合いがあるほかの数人の民進党議員の振る舞いをみても、つくづくそう思うのです。

 

 

 

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